受賞者インタビュー

過去受賞者に、本コンテストへ応募したきっかけや受賞後の活動についてお話を伺いました。

地方創生☆政策アイデアコンテスト2020
地方公共団体の部 地方創生担当大臣賞受賞

外壁の汚れをアートに変え、新たな街計画をもたらす
地域おこし協力隊「TOMOSHIBI」さんにインタビュー!
「TOMOSHIBI」~artのある街計画~
地方創生☆政策アイデアコンテストは、地域経済分析システム(RESAS:リーサス)やV-RESASを活用した課題分析に基づくさまざまな政策アイデアを募集しています。

2020年度の地方公共団体の部において地方創生担当大臣賞を受賞したのは、指宿市地域おこし協力隊のなかでアート活動集団「TOMOSHIBI」として活躍する瀬戸口晴彦さん・MOTORさんです。

外壁の汚れをアートに昇華し、指宿市を明るくする活動に取り組むお二人に、本コンテストへ応募したきっかけや受賞後の活動についてお話を伺いました。]
「TOMOSHIBI」のこれまでの活動

瀬戸口「地域おこし協力隊として指宿に移住してきて、昼間でも街が暗く見えると感じていました。その原因のひとつは建物の外壁が汚れているからだと思い至り、共感してくれたMOTORさんと二人で、最初は壁の清掃活動を始めました。」

MOTOR「私はもともと絵描きで、移住前はエアブラシで車やバイクに絵を描く仕事をしていました。エアブラシと壁の清掃に使う高圧洗浄機は、基本的な感覚がよく似ています。清掃活動中に遊び心で、高圧洗浄機を使って壁に絵を描いたら瀬戸口さんが気に入ってくれて。それがTOMOSHIBIの活動のきっかけになりました。」
――お二人はどのように役割分担をされているのでしょうか?

MOTOR「絵を描くのは基本的に私です。交渉とかは苦手なので、瀬戸口さんが担当してくれています。私が絵を描ける環境を瀬戸口さんが全力で作ってくれている感じです。」

瀬戸口「私はもともと、国際的なアートフェアで協賛企業や画廊と交渉したりする中で、アーティストに関わる機会がある仕事をしていました。MOTORさんはまさに『アート思考』で、問題提起や心に響く問いかけなど私にはない考え方を持っています。二人のアイデアを合わせることで相乗効果が生まれています。」
地方創生☆政策アイデアコンテスト2020へ応募したきっかけ
――本コンテストを知ったきっかけは何でしたか?

瀬戸口「Facebookの広告で見かけました。直前に知ったので、応募期限の2日前から急いで資料を作り始めました。」

――それほど直前だったのにコンテストに応募された理由は何ですか?

瀬戸口「実は以前から私たちの活動について幅広い方々の協力を得たいと考えていたのですが、うまくいかなくて……地域おこし協力隊の任期は3年しかないので、地道に段階を踏んで認めてもらう時間がなかったんです。このコンテストで大臣賞を取れば行政含め地域の方々にも注目してもらえるのではないかと思い、応募しました。」

――応募資料を作るにあたり、RESASを使ってみていかがでしたか?

瀬戸口「表形式の数字ではなく、デザイン性のあるグラフとして表示されるのは意外でした。RESASがなかったら自分でデータを探してグラフ化しなければならないので、それだけで時間がかかってしまいます。欲しいデータがいくらでも取れて、グラフ化までRESASだけで完結できるのは便利ですね。コンテストが終わった今も、私はよく利用しています。」
地方創生担当大臣賞受賞後の活動
――受賞後、TOMOSHIBIの活動にどんな変化がありましたか?

MOTOR「反響がよくなりました。世間的に認められる活動であると証明されたように思います。」

瀬戸口「我々の活動に興味を持ってもらうことが増え、オファーも複数いただいています。『お任せするので好きな絵を描いてください』という依頼も増えました。全国メディアやSNSなど、国内外問わず指宿の魅力のひとつとして情報発信してもらう機会も増え、嬉しいです。」

――最近はどういったところに描かれていますか?

MOTOR「直近の活動でいうと、西指宿中学校での壁画コラボプロジェクトですね。校長先生がすごく情熱のある方で、受賞のニュースを見て連絡してくださいました。指宿市徳光地区にある温泉タンクにも絵を描いています。校長先生も徳光地区の人たちもすごく情熱があって、一緒に考えていけるのが楽しいです。」

瀬戸口「あとは、市が運営する観光施設である砂むし会館『砂楽』の階段に描かせていただいたり、指宿市役所の新しい支所にも描かせていただくため企画準備中です。」
最近は高圧洗浄機を使って汚れた壁面に描く手法ではなく、MOTORさんの従来のアート活動に近い、塗料を使ってカラーで描く形の活動も増えたそう。アートと地域の課題を掛け合わせることで地域住民の理解が深まり、アーティストがさらに活動しやすくなるとお二人は考えています。

――お二人の地域おこし協力隊としての任期は残り1年ほどですが、今後はどのような活動に注力したいですか?

瀬戸口「今後は我々の活動に賛同してくれるアーティストにも絵を描いてもらいたいです。指宿が『アーティストに会える街』になって、いろんな人が集まってくれたら最高ですね。アーティストや観光客、指宿に暮らす地元の方たちが、いい影響を与え合うことができると思っています。」

MOTOR「指宿にいる情熱を持った人との出会いは、私にとってもかなり刺激になっています。関係するすべての人たちの情熱がぶつかりあって化学反応が起き、それが作品にも表れます。指宿にアーティストが集まることは、アーティストにとっても地域の人たちにとってもすばらしいことだと思います。」
受賞者からのメッセージ
――TOMOSHIBIのように地域の課題解決をしようと活動をされている方に向けて、何かアドバイスはありますか?

瀬戸口「まずは、興味をもってくれる人や熱い思いをもっている仲間を探すことをお勧めします。そうした仲間とは掛け算の関係になれ、結果もついてくると思います。」

――最後に、地方創生☆政策アイデアコンテスト2021への応募を検討されている方に向けて、メッセージをいただけますか?

瀬戸口「今、うまくいっていない人こそ、このコンテストに応募すべきです。どんなに奇抜なアイデアであっても『RESASのビッグデータに基づいた根拠がある』と大勢に向けて発表できる場だからです。受賞すれば大臣賞ももらえますしね。アイデアはあるが実現は難しいと感じている人ほど、このコンテストをうまく利用してほしいです。」

MOTOR「プレゼン資料を作る過程を通して、自分たちのなかでもTOMOSHIBIという活動のビジョンを整理できました。受賞できればいろんないい影響もありますし、受賞できなかったとしても自分たちの活動を整理する機会になるので、やる価値はあります。」

――ありがとうございました。