受賞者インタビュー

過去受賞者に、本コンテストへ応募したきっかけや受賞後の活動についてお話を伺いました。

地方創生☆政策アイデアコンテスト2022
大学生以上一般の部 地方創生担当大臣賞

顔の見えるネットワーク構築でフードシェアを促進!
「学生がつなぐ地方創生移動販売」を提案した野田ゼミさんにインタビュー!
地方創生☆政策アイデアコンテストでは、地域経済分析システム(RESAS:リーサス)やV-RESASを使って地域の課題を分析し、課題を解決する政策アイデアを募集しています。

2022年度の大学生以上一般の部では、同志社大学野田ゼミの皆さんが地方創生担当大臣賞を受賞されました。

農家も消費者も安心できるフードロスの活用を提案した皆さんに、本コンテストへ応募したきっかけや受賞後の活動についてお話を伺いました。
地方創生☆政策アイデアコンテスト2022応募のきっかけ
辻本「地方創生の政策を考えるゼミに所属しており、先生から教えて頂いたこのコンテストに応募しました。また一学年上の先輩も過去にこのコンテストに参加していました。」
応募にあたり工夫した点・課題であった点
喜多嶋「資料については、発表用のスライド20枚の中で政策について伝えるため、取り組んできたことを文字や図等で全て詰め込もうと意識しました。
また、テーマ決めで苦労し、決めるために何カ月もかかりました。農家の方たちの問題は本当にこれで合っているのかという点は根本的なので、インタビューをしながら考え、ようやくテーマを決めました。」
宮元「プレゼンをしたことがなかったので、とにかく練習しました。8分間という短い時間で自分たちの活動をどのように伝えるか、質疑応答で質問に答えられないことがないように、スライドと自分たちの主張が一致しているかを常に考えていました。」

―――テーマはどのような過程で決まりましたか。

喜多嶋「京都市の課題を考えた時に、京都は農業が盛んであるということが浮上しました。京都の規格外野菜が多いという資料はありませんでしたが、インタビューで破棄される野菜が多いと分かり、このテーマにしました。」

―――規格外の野菜でも、給食で大量の食材を扱う学校や老人ホームのような施設であれば販売先として需要はありそうだと思うのですが、どのように移動販売にたどり着いたのですか。

松本「まとまった量を受け入れてもらえるという点で、幼稚園や老人ホーム、学校という施設についても検討しました。しかし学校のような公的機関では、使用する野菜の基準が高いことが多く、味が変わらないのですが規格外野菜の受け入れは難しいという問題がありました。」

―――販売方法として、通販やスーパー、コンビニでの販売についてはどのようにお考えですか。

辻本「通販の場合は手数料がかかります。農家の方の収入を増やす上で、そのデメリットを解消したいという意図がこの政策にはあります。
また今回は、農家と消費者の間で顔の見えるネットワークの構築を重視しました。そのためスーパー等での販売は検討せず、移動販売というキーワードが浮き上がりました。」

辻本「スーパーや給食調理員の方にインタビューをしたところ、不揃いの野菜は大量に扱うことが難しく、定価で販売できないため正規品を主に扱っており、規格外野菜は取り扱っていないとのことでした。」

―――調査ではインタビューを重視したのですか。

喜多嶋「はい。データも大事ですが、当事者の方に違うと言われたら否定できないので、現場の声に基づくというのは意識しました。」

―――アポイント取りは大変ではありませんでしたか。

喜多嶋「断られることももちろんありましたし、まずどこにインタビューするのかという問題もありました。皆で相談をして、電話で直接アポを取りました。」

―――農家の方とはスムーズにアイデアについて意見交換ができましたか。

喜多嶋「協力的な農家の方も、そうではない方もいました。訪問してもあまりうまく話を聞けない場合もあるので苦労しました。」

―――移動販売を行う際に苦労されたことはありますか。

辻本「自分たちで行う移動販売では、食品を売るための資格が必要でした。資格自体は簡単なものですが、メンバー数人で資格を取得しました。また当日にその場に行かければ、売り場の状況が分かりません。スーパーでは何曜日に何人の人が訪れるのか見通しが立つのですが、その点、移動販売は不安定なので、売れるのかどうかという心配は常にありました。」

―――移動販売では季節や天候にも左右されますよね。

辻本「はい、天候は不安でした。幸い当日は天気に恵まれました。」
RESASやV-RESASの活用
―――RESASはもともと知っていましたか。

喜多嶋「今回コンテストで使用したのが初めてです。」

―――RESASやV-RESASはどのような点で役に立ちましたか。

蒔田「産業別に見ることができ、人口密度が色分けされているので使いやすかったです。情報量が多かったので、初めは知りたい項目を見つける際に時間がかかりましたが、慣れるとスムーズに使うことができました。」

―――データの分析で苦労した、見つからなかった情報はありますか。

辻本「京都の規格外野菜のデータがどこにもなかったので、皆で様々なデータを見て推測しました。」

松本「食品ロスについては農林水産省の情報はあるのですが、細かい内訳が把握できないため、自分たちで農林水産省のデータの収穫量から出荷量を差し引いた数字を規格外野菜の量だと仮定しました。」

喜多嶋「京都の野菜の購入量を調べる際は、現金で購入されている金額が出てきませんでした。地域の購入状況を的確に見出せているのかなと疑問に思いつつも、クレジットカードによる購入金額を参考にしました。」
受賞した時の感想
宮元「地方創生担当大臣から賞を頂いて実感が湧きました。周りに報告をした時、おめでとうと言ってくださり嬉しかったです。農家の方からも積極的に協力したいというお言葉を頂きました。」
今後の活動予定・意気込み
辻本「興味を持ってくださった団体様もいるのですが、今は就職活動に力を入れたいので今回の活動は一度、このコンテストで終了としました。今回お話を伺った団体の皆様はまた何かこのような活動があれば声をかけてくださいと、言ってくださいました。」

―――就職活動後に取り組む予定や後輩に引き継ぐという予定はなく、活動は一区切りということでしょうか。

喜多嶋「就職活動後についてはまだ考えていませんが、後輩に引き継ぐことができるなら、取り組んでもらえればと思います。」

―――多くの協賛企業賞も受賞されていますので、企業からこのアイデアを実施したいという希望があるかもしれません。企業によるアイデアの実施についてはどのようにお考えですか。

喜多嶋「実施してくださるならぜひお願いしたいです。収益を上げて農家に還元することが重要なので、その軸がずれなければどなたでも取り組んでいただければと思います。」

蒔田「私たちも記憶に新しいですし、価格のシミュレーションはデータとして残っていますので引継ぎ資料としてまとめることはできます。」

―――ボランティアではなく事業として運営するにあたり、課題だと感じることはありますか。

辻本「実証の際に農家へ野菜を引き取りに行く作業は学生で手分けして行ったのですが、アルバイトとなるとその時間の時給も考慮しなくてはいけません。シミュレーションにもその金額を一時間ほど含めているのですが、活動を広げていく上では誰が行くのか、どれほど遠い距離になるのかという問題も出てくると思います。
協力してくださる農家の方を探す方法は2つあり、1つ目は早朝に学生が畑で野菜を探してその場で農家の方と交渉する方法です。2つ目はJAや農協に紹介して頂き、農家の方と連絡をとる方法で、こちらの方が信用されるので多くの農家の方を紹介して頂けます。」
これから応募する方へのメッセージ
西村「このコンテストは大きなチャレンジでした。大変なこともありましたが、勉強になるだけでなく皆で取り組む時間はとても楽しい思い出になりました。受賞することも大切ですが、参加することにとても意味があるので、チャレンジして頂ければと思います。」

辻本「この活動を通じて様々な年齢、立場の方と出会うことができ、視野の広がるいい機会でした。ぜひ挑戦してみて下さい。」

喜多嶋「自分たちの考えた政策に対して専門家の方にフィードバックを頂く機会はなかなかありません。そのような機会はとても貴重で、自分たちの政策が実際に評価されると非常に達成感がありました。ぜひ出場して頑張って頂きたいです。」

蒔田「大きな大会なので様々な人が集まり、それぞれの地域の良さや課題を知ることができて非常に刺激的でした。自分の地域を振り返ることで改めてその良さを知ることができる、やりがいのある大会でした。ぜひ参加して良い体験をして下さい。」

奥村「ゼミの友達とのインタビューや実証実験等は大変でしたが、振り返ると楽しかった事も多くとてもいい思い出です。参加される方には、様々な活動ができることや人との出会いを楽しんで頂ければ思います。」

宮元「コンテストでは論理的に思考する力や、相手の求めていることを把握するスキルが常に必要になります。そのような機会はめったにないので、ぜひ参加して頂きたいと思います。」

松本「大会を通して自分たちの地域を多角的に見ることができ、普段過ごすだけでは分からない問題を把握することができて良かったです。大変なことも多かったのですが、コンテスト出場にあたり自己成長につながることが非常に良いと思いました。参加される方はこの貴重な機会を通じて様々な体験をして頂ければと思います。」

尾上「コンテストに出るにあたって資料づくりのスキル、人前で話すスキル、地域の方や市の方とコミュニケーションするスキルも高められ、仲間の長所も知ることができました。様々な面で成長することができるので、ぜひ挑戦して頂ければと思います。」