受賞者インタビュー

過去受賞者に、本コンテストへ応募したきっかけや受賞後の活動についてお話を伺いました。

地方創生☆政策アイデアコンテスト2023
大学生以上一般の部 地方創生担当大臣賞受賞!

計画している目的地へ向かう道中の寄り道を楽しんでもらう新形態の観光体験を提供する
『~QRでご紹介~ チャリで巡る!絶景AwaLand』を提案した
福井大学大学院工学研究科 産業創成工学専攻 経営・技術革新工学コース 竹本研究室/チームあわらの今原 幸大さん、岩井 謙仁さん、山下 夏輝さんの3名にインタビューしました。
産学官で連携した素晴らしい政策アイデアを提案いただいた皆様に、当コンテストへの応募のきっかけやプレゼンテーションで工夫した点、難しかった点等をお聞きしました。
地方創生☆政策アイデアコンテスト2023全体の感想
地方創生担当大臣賞を受賞したときの気持ち、最終審査会前のドキドキ感、懇親会の感想や、プレゼンテーションタイム以外の過ごし方について伺いました。

今原「地方創生担当大臣賞を受賞したときは、協賛企業賞を1つしか受賞出来ておらずあまり期待していなかったということと、自分たちのやってきたことが評価されたと思い、嬉しい気持ちでした。
最終審査会前は自分自身としてもチーム全体としても非常に緊張感はあったと思います。岩井はこれまでにも地方創生☆政策アイデアコンテストのようなプレゼンテーションの場の経験がありましたが、私を含めた他のメンバーは初めての経験だったため、ドキドキしていたと思います。
懇親会は最終審査会の緊張感とのギャップから解放感があり、楽しむことが出来ました。
プレゼンテーションタイム以外の時間は、コンビニエンスストアに出かける等、外出してリラックスしていました。プレゼンテーション前にはチームで控室に集まって、プレゼンテーションの準備を行っていました。オンとオフのメリハリをつけて過ごしていました。」

―――岩井さんは緊張されなかったのですか。

岩井「私は今回のようなプレゼンテーションの場に参加した経験もあるうえ、元々緊張しない性格であるため、みんなに比べたら緊張はしなかったと思います。ただ、地方創生☆政策アイデアコンテストほどの大きい舞台に上がったのは久し振りだったので、多少の緊張感はありました。」

―――山下さんはいかがでしたか。

山下「私も今原と同じく今回のような大きな舞台に立ったのは初めてでした。そのため、舞台に立ったときは緊張しました。しかし、プレゼンテーションの練習を何度も繰り返し行い、抑揚のつけ方や話し方といった当初の課題を徐々にクリアして最終審査会前には完璧な状態になっていたので、あとは練習通り発表するだけだと思って臨むことが出来ました。」

―――大学院ではご自身の研究等の発表の場はあるのでしょうか。

岩井「他の大学の研究室と比べると、発表の場は多いと思います。週1回必ず参加しなければならないゼミでは課外活動の進捗状況の発表の場があります。また、その課外活動の中でもあわら市の職員に活動を発表する機会があります。」
地方創生☆政策アイデアコンテスト2023応募のきっかけ
岩井「ゼミでは、元々、分析地域の活性化を最終的なゴールとし、そのために、理論に基づいて地域について分析をしています。そのような活動をする中で、2020年から毎年、地方創生☆政策アイデアコンテストに応募していました。このチームも、2020年の地方創生☆政策アイデアコンテストへの応募に向けて作られ、今年度まで継続しているという状況です。今年度は産学官連携した事業を実施しており、それに合わせた提案を新しく作成して応募しました。」

―――どのように2020年に当コンテストを知ったのですか。

岩井「ゼミの担当教授が地方創生☆政策アイデアコンテストを紹介してくれて応募する運びになりました。」

―――今回の4名チームはどのように編成されたのですか。

岩井「チームあわらは私が学部4年生の頃に発足して今年度まで続いています。今原と山下は昨年度にチームに加入しました。本日のインタビューは不在ですが、増井は今年度、チームに配属されました。」

―――研究室の中でもいくつかチームがあるのですね。

岩井「その通りです。研究室の中にはチームが4つあります。その4チーム全てが地方創生☆政策アイデアコンテスト2023に応募し、その中で私たちのチームが最終審査会まで残りました。」

―――研究室の他チームのメンバーから応援はありましたか。

岩井「最終審査会当日は研究室の部屋で応援していた方もいたと聞いています。」

―――応援してくれる仲間がいると心強いですね。
応募にあたり工夫した点・課題であった点
―――2020年から継続して応募されているとのことですが、今回のテーマ決めはどのように行ったのでしょうか。また、2020年に応募したときからテーマはどのように変わってきたのでしょうか。

今原「まずテーマ決めについてです。先ほど岩井が申し上げたように、研究室内にはいくつかチームがあります。あわら市チームや鯖江市チーム、越前市チームといったようにチームが決められており、私がこのチームに入ったときにはあわら市を対象とするという方向性が決まっていました。解体してしまうチームもある中で、あわら市を対象とするチームは継続することになり、今年度もそのままあわら市を対象テーマとしていました。
続いてテーマの変更については、ターゲットが、観光客、サラリーマン、観光客と変遷してきました。私がチームに加入する前にはあわら市の観光客をターゲットにしていました。私がチームに入った後に改めてデータを見てみると、思っていたよりもあわら市には社会人が増えているのではないかという意見が挙がり、サラリーマンに焦点を当ててみたこともあります。しかし、データ収集が難しいという問題点もあり一度完全にリセットしました。3月半ばには北陸新幹線が開通するという背景の中、二次交通が発達していないという点にも着目したうえで、再度観光客にターゲットを絞りました。」

―――ターゲットが年度ごとに変わっているとのことですが、今年度において工夫した点や難しかった点はありますか。

今原「まず、資料作りで難しかったことは、地方審査における20ページという制限の中に内容をどこまで詰め込めるのか、いかに量を伝えられるかに重きを置いた点です。私たちのゼミでは、修士課程1年生である私と山下が中心に活動をする中で、修士課程2年生にサポートしていただく形を理想としています。修士課程1年生の私たちが作った資料を、修士課程2年生の岩井がブラッシュアップすることで見やすくなっていきました。そのブラッシュアップを繰り返すことに相当時間をかけました。」

岩井「活動の方向性は私が打ち出しています。このように進めよう、資料をこのように作っていこうといった具体的なイメージを伝えたうえで、今原や山下に資料を作ってもらいました。その資料をブラッシュアップしていく中で私が思っていたのは、地方創生☆政策アイデアコンテストは、様々な条件を満たす資料でなければいけないという難しさがあるということです。資料には20ページという制限や、RESAS等を使わなければならないという条件、また、初めは書面審査のため手元で見て分かる資料にしなければならない点が難しいと思っていました。私が学部生だった頃の資料や、修士課程1年の頃の資料、他の受賞作品等を見て、どうすれば審査員にとって見やすい資料に出来るのかを考えました。そのうえでやはり、20ページという制限は私たちの活動量に対して少ないので、特に難しかったです。」
チームメンバーで実際に自転車を漕ぎに行った様子
データ活用で難しかったことや役立ったこと、工夫したこと
山下「何度もあわら市に足を運び実地調査を行ったことです。肌感覚であった二次交通の不足という部分をデータで裏付けすることが大変でした。バスの時刻表やタクシー会社の数を調べても、他地域との差が出ないという課題がありました。そのような中で、RESASの近距離移動時間分析を見つけ、データで裏付けをすることが出来ました。」

―――RESASやV-RESASは使いやすかったですか。

山下「近距離移動時間分析を使っての観点では、拡大縮小がしにくい等、細かい使いづらさはありました。しかし、全体的にデータ量が多くてどのような地域でも対応できるのが魅力だと思います。」

―――RESASやV-RESASだけではなく、ご自身でグラフやマップを作成いただいたと思います。そこで工夫した点はありますか。

山下「RESASやV-RESASから得られる情報は、表面的なものが多かったです。実際には、地域の方がどのように感じているか等のデータでは見えない部分があります。今年度は産学官連携事業としてレンタルサイクルがスタートしていたのですが、実際レンタルサイクルを利用される方はどのような方なのか、どのように動くのか等のデータは自分たちで足を動かさないと見えてきませんでした。そのため、独自でデータを収集して分析しました。」

―――ちなみに、産学官連携事業を行うにあたり株式会社HDPプロジェクトと繋がった理由はありますか。

岩井「産学官連携事業にて、研究室の竹本教授が元々繋がっていた会社でした。また、私たちチームあわらが活動する中で、あわら市長やあわら市役所の方々に何度か提案をしていました。そのような活動を評価いただき、あわら市役所、株式会社HDPプロジェクト、私たちの産学官連携事業が開始されました。」
株式会社HDPプロジェクトとのミーティングの様子
プレゼンテーションを行うにあたり工夫した点
―――プレゼンテーションの練習はどのくらい行ったのか、資料はどのように工夫したのかをお伺いいたしました。

今原「まず資料の工夫については、4名の教授から、AwaLandを提案する背景や意味が分かりにくいというフィードバックを受け、提案の背景について説明を厚くし、伝わりやすくしたことが工夫した点です。また、プレゼンテーションの練習については、それぞれに担当を振り分けて各自で練習し、事前に調整した4名が揃う日程で合わせる形でした。全員で合わせた練習においては、どのようすれば良く見せられるか、自分たちの佇まいや4人での回し方について考えました。例えば、プレゼンテーションの際レーザーポインターを表示させたことは良く見せるために工夫した点です。7分という短い時間で、どの箇所を発表しているかが分かりやすいようにしました。また、役割分担においてスライドを切り替える担当を用意したことは他のチームと異なり工夫した点だと思います。」

―――プレゼンテーションの時間配分も事前に決めていましたか。

今原「プレゼンテーション全体で大きく4つのパートに分かれており、それを4人で分担しました。その中で、ここのパートは時間を割くべきである、逆にここのパートは割愛しても言いたいことは伝わる等、計算してプレゼンテーションの配分を決めました。資料中の帯の色で分担しています。」
―――プレゼンテーションで難しかったことはありますか。

今原「感情の起伏という点です。岩井はプレゼンテーションの場に慣れていますが、私は練習し始めたときは棒読みになってしまっていました。発表しているというよりも文字を読み上げている状態になってしまっていると教授にも言われていました。聞いている人の注意を引く、興味を持たせるという点が難しかったです。」

―――チームあわらのみなさまのプレゼンテーションはとても聞きやすかったです。練習の賜物ですね。
今後の活動予定・意気込み
あわら市長へチームのアイデアについて発表を行っている様子
―――この政策アイデアは後輩に引き継いでいくのでしょうか。

岩井「後輩に引き継いでいく形になります。しかし、教授の考え方次第で当政策アイデアも別のものに変わっていくこともあります。そのため、今後どのようになっているのかは何とも言えません。ただ、少なくとも来年度は当政策アイデアを実証する段階に入っていき、そのうえで改善を図るフェーズになると教授は仰っていたので、来年度は継続していると思います。」

―――実現にあたっての課題などはありますか。

岩井「何点か困っていることがあります。例えば、QRコードを用いてインスタグラム等の媒体に動画を残し、それを使って情報提供しようと政策アイデアの中で提案しています。ただ、動画を撮影することに関して、私たちは素人なので、頑張って自分たちで動画を作るか、民間企業に委託する形で対応しなければなりません。また、看板を作る際にどのようなデザインであれば注意を引くことが出来るのか、デザインに詳しい方の意見が大切だと考えていますが、デザイナーに依頼をするのか等検討しなければなりません。最後に、いつ当チームが解散するか分からないので、事業に関わり続けることが難しい点もあります。どこかのタイミングで、民間の方やあわら市の方に託す必要があると考えています。」
次年度以降応募する方へのメッセージ
今原「自分たちのやりたいことの背景をしっかり持ち、根拠立てて話すことによって聞き手に伝わると思います。その点に気を付けて頑張ってください。」

山下「資料を作成するうえで、見る相手を意識して文字の大きさや画像を使うか等を考えることが大切だと思います。頑張ってください」。

岩井「地方創生☆政策アイデアコンテストは参加するだけでも自分のためになると思います。提案した政策アイデアの実現に向けて熱意をもって活動していき、最終的に地方創生☆政策アイデアコンテストに応募するだけでも力になります。まずは熱意が大切だと思っていますので、活動に熱心に取り組んでいただいて、応募していただければと思います。頑張ってください。」

チームで役割分担をきちんと行い、綿密な準備をされていた様子が分かるインタビューでした。当コンテストの難しさも具体的にお話しいただき、大変参考になりました。これからの活動の広がりに期待したいと思います。