遠藤 俊英さん

大学生以上一般の部

前金融庁長官

遠藤 俊英さん

金融庁の進める地域金融行政はここ10年ほどの間に内容が大きく変容しました。従来は、地域金融機関、つまり、地方銀行、信用金庫、信用組合などが健全に運営され金融システムが安定していることが行政の目的でした。しかし、いまの地域経済の状況を考えると、地域金融機関はもっと積極的に地域経済の活性化や地方創生にかかわらないと、自分の存立基盤そのものを失ってしまいかねません。地方創生のために、地域金融機関は何ができるか、金融機関自身に考えてもらうため、金融庁は金融機関との「対話」によってその背中を押していこうとしています。

同時に、金融庁自身も地域に入り込んで、地域の実態を把握し、地方創生の一翼を担いたいと考え、活動を始めました。若手を中心に、地域課題解決支援チーム、生産性向上支援チームといったグループが組成され、地方創生に熱い思いをもって取り組んでいる地元の方々と協業しています。半分「本業」、半分「部活」のような位置づけで、チームメンバーは「他人ごと」ではない「自分ごと」として、各地域の地方創生の具体的な取り組みに積極的にかかわっています。

そうした活動を通じて痛感することは、実態把握、課題把握の大切さです。まずは、問題意識を持つ人々の話をよく聞くことから始まりますが、さらにそれを裏付けるための、あるいはもう少し高い視点から包括的に事柄を理解するための、データ収集と分析が必要です。その点、RESASはその開発当初から、うまく使うことで、地方創生の動きに新たな切り口をもたらしてくれるものと期待していました。

「地方創生☆政策アイデアコンテスト2020」の審査員として、今回参加させていただき、斬新かつ地方愛に満ちたみなさまからのアイデアに触れることを本当に楽しみにしております。そうしたアイデアは、金融庁の今後の地域金融行政でもぜひ活用させていただきたいと願っております。